「うん、で、何組になったの?」
大事な事聞くの、忘れる所だった。
教室近かったらいいなぁ。
休み時間でも、会いに行けるから。
「あー、俺3組になったぜ!
近いようで遠いよな‥‥
しかも、担任じじぃだし!」
じじぃって‥‥、
呼び方酷いよ(笑)
そんな他愛もない話をしてたら、
あっという間に私の家の前。
いつも、ここで10分くらい長話するんだよね。
だから、悠紀が家に着くのは
多分周りが真っ暗になった時。
早く家に帰りたいはずなのに、本当に優しいんだ。
ずっと、一緒にいたいな、
「なぁ、友莉。
話があるんだ」
ーーーーードクンッ
な に ?
嫌な予感がする。
いつもはそんな真剣な顔してないのに。
どうして、今そんな真剣な顔してるの?
「‥‥なぁに?」
この雰囲気を変えようと、私は無理矢理
明るい声を出した。
それなのに、悠紀の表情は変わらなくて…。
「‥‥俺達、別れよう」
「っ!!
嫌だよ、別れたくない。
なんで?さっきまで普通だったじゃん。
私の事、嫌いになったの?
なら、私頑張るから!
もう一度悠紀に好きになってもらえるように
頑張るから!!」
「違うんだ。
お前は何も悪くない。
でも、俺じゃお前を幸せにできない。
だから‥‥‥」
「なにそれ。
私の幸せはずっと悠紀と一緒にいることなの!
それなのに。
私の幸せを勝手に決めないでっ!」
ーーードンドンドン
私は悠紀に分かってほしかった。
この気持ちが届くように、悠紀の胸を叩いた。
でも、悠紀はごめんしか言わなくて。
だから、あぁ、もう駄目なんだ、ということが
嫌でも分かってしまった。
もう、諦めるしかないんだね‥‥。
「‥‥‥分かった。
じゃあ、最後に一つだけ聞かせて?
私達の時間、無駄じゃなかったよね?」
「あぁ」
「そっか。それなら良かった。
今までありがとうね。
私すごく楽しかったよ。
じゃあ、またね」
「俺も楽しかった。
じゃあ、ばいばい」
私は悠紀の背中が見えなくなるまで
ずっと悠紀を見てた。
もしかしたら、嘘だよ!って言って
いつもの笑顔でこっちに来てくれるかもしれないと、期待してたから。
でも、そんな期待をよそに
悠紀がこっちを振り返る気配は全くなくて。
彼は真っ直ぐ前を見て歩いてた。
何かを決意したかのように。
その姿が愛おし過ぎて、
私はその場で泣き崩れていた。
