あたしの唇に何かが触れた。

それは・・・乃亜君の唇だった。

「いやっ・・・!」

嫌だよ・・・! 乃亜君は咲希と付き合ってるのに、最低だよっ。

それに無理やりキスするなんて・・・酷いっ・・・。

「お前、まさか処女?」

涙が頬を伝う。

そして乃亜君はあたしのブラウスのボタンに手を掛ける。

「ふぇっ・・・う・・」

顔はもう涙でグチャグチャ。

誰か助けて・・・



_____ガンッ


突然屋上のドアが開いた。

そしてそこに立っているのは・・・奏斗・・・?

「てめぇ何してんだよっ!!」

_____バシッ

「ってぇ・・・」

始めは何が起きたか分からなかった。

でも、奏斗が乃亜君を殴った音だった。

「お前、女泣かして何してんの?」

すごく怖い顔で奏斗が聞いた。

すると乃亜君は

「おっ・・お前には関係ないだろ・・!処女なんて面倒くせぇ!」

と、捨て台詞を吐いてあっというまに屋上から去っていった。

すごく怖かった。あんなに憧れていた乃亜君にいきなり襲われて、

しかも『処女なんて面倒くさい』って言われて、すごくショックだった。

だけど奏斗が・・・

「由愛・・?大丈夫か?」

奏斗が・・・。

助けてくれたんだよね。

「うん・・・ありがとう。」