そんなの待ってられないよ。早く小野田先生に逢いたい。でもわがままなんかで周りを不愉快にしたくない。「うん。わかった」トイレをすまして私は急いで音楽室へ向かった。ドアをあけると先生はいた。女の先生と話していた。「小野田先生いるよ?声かけないの?」美香が私の顔を覗き込んで聞いてきた。「っあ、うん。もう授業始まったちゃうからやめとく」私は自分の席に座った。チャイムが鳴り、みんな席に着いた。私は1人席に一番後ろ。この席は何をしてもばれなくて快適だった。「今日の授業は鑑賞です。みんなに今から紙を配るんで、それに感想を書いて提出してください」小野田先生に優しい声が響く。DVDでオーケストラの様子が流れた。次第にシャーペンで書く音が大きくなった。先生がゆっくりとこっちに近づいてくる。私は紙に何かを書く真似をして目をそらした。「おい。飯田」先生が小声で話しかけてきた。「ん?」私は