ご存知の通り、和久と敬子にこの時代の知り合いはいない。


だからこんなことは初めてだった。


それでも主人の会社の人が付き合いで寄越したのかもしれない。


そう思った敬子はあまり警戒もせずにエントランスのセキュリティを解除した。


ピンポーン。


チャイムが鳴って敬子は印鑑を用意してから玄関のドアを開けた。


そこには確かに清水運輸の制服を着た男が立っていた。


でも、一人ではなくて二人だった。


一人の男が、


「声を出すな!」


と声を潜めて言い、敬子にサバイバルナイフを突きつけた。


「ひぃッ」


敬子は従うしかなかった。