花菖蒲

 一方、玄関をでた二人の娘は

 「お姉ちゃんさ、机の鍵のかけてる引出何が入ってるの」

 「それは最愛の妹と言えども秘密です」

 「お姉ちゃんって秘密主義だよね。進太郎と付きあってる言わなかったし」

「貴女も同じでしょう。付き合ってる人いるの」

 「いないよ。今は囲碁一筋です」

 「囲碁、若手の人も多いでしょうに」

 「あれは、止めてるの、全員難しそうな顔してるから」

 「誘われた事無いの」

「無い。私囲碁関係者と付き合わないと、公言してるからかな」

 「ふ―んそうなんだ」

 「でもだらしなく無い、私が公言してるからって誘わないなんて」

 「無理と知っては手出しは、しないでしょう」

「だから上手くならないんだ、難局を乗り切る新手を考えなくては、昇段無い」

 「自分勝手な事言ってるわ」

 「私の言葉で無く、先生の教えです。
でも前々から鍵かかってるから、進太郎さん関係ではないだろうし、教えてよ」

 「その内解るわよ、私が結婚する時には教えるわ」

 「絶対だよ。約束ね」

 「はい、憶えておきますわ、理英さま」

 「そうやって茶化すんだから、約束してよ」
「はい」

 「それわっと、お姉ちゃん結婚にあたり、何か欲しい物ある。どんな高額な物でも良いわ」

 「貴女くれるの、大きく出たわね」

 「お祝いは倍返しって言うじゃない、私の時は倍貰えるもの」

「しっかりしてますわね、この妹は」

「進太郎さんにも、言っておかないといけないな」