「・・・・むぅ」

「あれ?碧葉、具合悪いの?

反撃がないなんて」

いや、何故か口が上手く動かんのだ。

口というよりは頭が重いような気もするが・・・・

「何でもない。それよりこれから

バイトだろう。遅れるぞ」

「それはそうだけど、

具合悪いんなら休ませてもらうわよ?」

「問題ないと言っただろう。

良いからさっさと行け」

あー、だんだん頭がボーッとしてきた。

ひょっとして睡眠不足だろうか。


あの日以来、

どうも睡眠が浅くて疲れが取れない。

軽く頭を振って姫華をせかすと、

肩をすくめてこちらに背を向けた。

「分かったわ、でも一言だけ。

すれ違ったら早めに歩み寄らないと、

どんどん気まずくなるわよ」

・・・・何のことだ?

「仲直りなら、早めにね」

思わず姫華を見るが、

すでに足音を残していなくなっていた。