――トントントントントントントン・・・・

「・・・・ば、碧葉ってば!」

「っ!」

――ズダン!

あ、まな板に包丁が刺さった。

台所で夕飯の仕度をしていると、

突然後ろから大声で呼ばれたせいだ。

「いきなり声をかけるな!手元が狂ったらどうする!!」

振り返えりながら怒鳴ると、

声をかけた姫華が呆れたように

こちらを見つめていた。

「ずっと声かけてたわよ。

それよりそれ、どんだけ

キャベツ刻むつもり?」

「え?・・・・うぉ」

姫華に指摘されて初めて

千切りキャベツで山が

できていたことに気付いた。

軽くザル二杯分はあるな。

何でこんなに刻んでいたんだ、自分。