「碧葉、こっちこっち」

昼の呼び出しを終え、

教室に戻った私を出迎えたのは

幼馴染みの声だった。

もう大半の生徒は昼食を終えて

各々好きなことをしているが、

自分が戻ってくるまで

待っていてくれたらしい。

「遅くなってすまない」

「ううん。別に良いけど、

なにかあったの?」

お弁当を取り出して椅子に座ると、

月城 綾香(つきしろ あやか)が

興味津々と言った様子で訊ねてきた。

綾香は幼稚園の頃からの友人で、

同じ小中学校、そして何の因果か

同じ高校に通う筋金入りの

幼馴染みである。