昔、誰かに言われたような気がする。
お母さんだっけ?
それともお父さん?
…違う。そう、お姉ちゃんだった。
「私と髪質似てるねー。これでこそ姉妹!かなー」
そう笑って私の髪を梳いてくれた。
お姉ちゃんは美容師を目指していて。
いつかお姉ちゃんに髪を整えてもらうんだって思ってた。
でも、その夢は叶わなくなって…。
それからずっと前より大事にしてきた髪なのに、それを…!
「いい加減にしてよっ!!」
私はそう思い切り叫んだ。
ハサミを振り払って、あたしを押さえつけている力が緩んだ隙に逃げ出して。
「待てっ!待ちなさいよ麻祐っ!」
そんな莢華の声がしたけど、無視した。
昔はとても仲が良くて。
ずっと一緒だったのにどうしてこうなったんだろう…。

