星夢物語

夜の11時と半分をまわったころ、杏恋は自分の布団のなかにいた。
年明けのカウントダウンは小さい頃はよく見ていたが、今はあの頃のように興味や関心もなく、それよりも睡魔に身をゆだねようかと少々若年寄思考になっている。

けれどあの夢のことがなぜか気になる。
寝れない、、寝たいのにあの映像と言葉が頭の中で繰り返されてしまう。


「はぁ……裏山…かぁ……」


寝ようと挑戦していた体に負けを認めさせ、少し風に当たろうかと部屋のガラス戸をあけた。
その先には8疊ぐらいの木製のベランダが広がり、スリッパを履いてスタスタと、右手の裏山を見上げるように歩いていった。


「天子山、か~、、一体なんだったんだろう?」


その問いかけに答えてくれる相手はいない。


「はぁ…いくらなんでも気にしすぎだよね、ねよー!うんうん」


その時だ
頂上付近の少し奥、青緑色の光がぼんやりと光り消え、しばらくしてまた同じ減少を繰り返し始めた。


「んーーーーーー?あれは。。。」


こういう現象を目撃すると普通の子なら怖がったり、見なかったことにしたり布団の中に緊急避難するだろう。
でも私は違う、そうはいかない。
こういう現象にはいち早く駆けつけたくなる症で、それがたとえ夜であろうと例外ではない。



好奇心の前ではみな平等なのだ。



こっそりとライトを手に取り、2人を起こさないように気遣いながらお気に入りの靴を履き、玄関から外に出た。


目指すは山の天辺!


光のある場所へ!