必死でその声の主を探す…





…孝雄…………!!!!




最後の力で掴まれていた腕を振り払い、立ち上がって孝雄の方に走った…








孝雄も私の方へと走る…





孝雄に抱き締めてもらったとき、私の全身の力が抜けた……。









孝雄がその男に向かって何か叫んでいる…



でも、私はもうなんて叫んでるのかさえ聞こえない…



聞こえるのは、抱き締めてくれた孝雄の早くなった胸の音だけ……







その男は、孝雄に叫ばれ、逃げるように車に乗り込み、車を噴かしながら勢いよく走り去った…








車が見えなくなると、孝雄は、


『もう大丈夫だから…』



そう言って、震える私を強く抱き締め、あの男に掴まれた腕に残るあの男の残像を消し去るようにずっと擦ってくれた……