「何でもない」 俺はふとこの間のキスの感触を思い出した。 ほんの1秒くらいのキス。 触れるか触れないかのキスなのに、 何故か今もリアルに俺の中に残っているんだ。 「はぁ~~。これでやっと同居生活からも解放されるっ!!」 俺はそんな記憶を振り払うように、無理と大きな声を出す。 「お疲れさん。早速 出てくの?」 「当たり前じゃん」 「本当は少し寂しいんじゃない?」 「まさか」 俺はそう苦笑してリュックを背負う。