「柊弥が着いたみたいね。

どうする、梓さん?」



気遣うように尋ねる声に、
あたしは小さく、『自分で
話します』と言った。



それとほぼ同時に、気遣い
とは無縁の大きな音をたてて、
入口の横開きのドアが
ガラッと開く。


……軽く息を弾ませた、
スーツ姿のままの柊弥が、
立っていた。



「梓………っ!」



小さく叫んで駆け寄って
くる長身を見上げ、お義母
さんが軽く眉をひそめて、
『もう少し静かになさい』
とたしなめる。



そんな余裕あるか、と
ばかりに顔をしかめる
柊弥からあたしに目を向け
小さく頷くと、お義母さんは
病室を出ていった。


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