私は、高1の普通の女の子、伊藤咲(いとう さき)。
普通と言ってもいいのだろうか?
だって今私が立ってるのは、高校の屋上。
下には見知らぬ人達が歩いている。
「……どうして」
私は呟いた。
「…どうして私だけ幸せになれないの……っ?」
頬に冷たいものが流れる。
私には本当に何もない。
「圭(けい)…。もうすぐ私もそっちに行くよ?」
圭、その人は私を唯一愛してくれた人。
もう圭はこの世にはいないけど私は今でも圭を愛してる。
いつだって思う事は一緒。
___どうしてあの時私じゃなくて圭が死んでしまったのか。
何度思ったって過去は戻ってくるはずがなくて、いっぱい泣いた。
「……圭…」
でももう一人で泣くこともないんだ。
だって、私は今日世界から消えるから。
「…愛してるよ」
私は足を前に進めた。
風が強くていつ落ちてもおかしくない。
「そこの人!!何やってんの!?」
後ろから見覚えのある顔の人がそう言い、私の腕を力強く握った。
「え…もしかして……自殺…?」
「け……い?」
大好きな人の名前を呟いた。
「は!?誰それ。俺の名前、匡(きょう)なんだけど!!てか、お前、早くこっち来いよ!!死ぬなんてまだ100年早いっちゅうの!!」
そう言い、圭ではなくて匡と名乗る人は私を自分の方に引っ張った。
「んーー、ここで出会ったのも何かの運命。一応自己紹介しておこっか…」
その人はあまりにも私の愛した人と似すぎていて。
「三浦 匡(みうら きょう)。17歳、2年。よろしく!!君は?」
でもどこかが違って。
「え、ちょっと!!なんで気失うの!?……ぉ…ぃ……」
でもどこかが似ていて。


ただただ、泣きたくなった。