その顔はもう笑っていない。 噛みついてやろうと口を開きかけたガルンだったが、その表情にぶつかってはしょうもない悪口を引っ込めざるをえなくなった。 「・・・なっ何よ、コトって。危険って何よ。」 不満気に口をとがらせたガルンを見て、トールはほんの少しほほ笑んだ。 「ごめん、今は言えない。 ――だけど・・・ひとつだけ、伝えておこうかな。」 そう言うなり、トールはすっと左手を差し出した。 「ノルムの姫君。君が、王だ。 俺が決めた、俺の王だ。」 その手はまっすぐに、ガルンの方に向けられていた。