トールはそれっきり黙ってしまった。本当に困ったと言わんばかりの考え込みようだ。 ガルンとルーは顔を見合わせた。 (――この人一体何がしたいんだ?) ルーが気味悪そうにひそひそと問い掛ける。 (知らないよ!本当に頭おかしいんじゃないの?!) しかし族長が城に客として迎えた以上、彼が名乗ったとんでもない身分に間違いはないのだろう。 「ねえ、使者さん」 腕を組み考え込んだままのトールに、ガルンは言った。