「あの子ばっかりずるい。
私には、生徒と恋愛なんてできないって言ってたくせに」

俺は中村に何度その言葉を突き付けただろう。

「ずるい」

中村は叫ぶように言った。

「中村が考えているようなことは何もない」

俺は彼女を落ち着かせようとする。

「俺は生徒と恋愛なんかしない。
それは中村が一番よく知ってるだろう」

山田は関係ない。
俺の勝手な思いに、彼女を付き合わせるつもりなんてない。

「そもそも山田は俺のことなんか何とも…」

「それって、先生の片思いってこと?」