「それにしても驚いたよ。
まさか教育実習に来るとは思わなかったから」

中村の成績は優秀な方だったが、教育学部へ進んだわけではなかったはずだ。

「いつから教師志望に?」

興味があったわけではないが、俺は社交辞令程度に尋ねた。

「別に私は教師になりたいわけじゃない」

「ふぅん」

確かにそういう学生はたくさんいる。
教員免許という資格を取るために、膨大な単位を取り、実習に来る。

彼らを否定する気はないが、俺なら教師になる気もないのに、あんな面倒なことをするのは御免だった。

「そうか、まぁ頑張って」

そう言って去ろうとしたとき、中村が痺れを切らした。