今日一日で、どっと疲れた。

放課後、俺は非常階段でやっと一息つくことができた。

フェンスから下を覗けば、いつものように山田がそこにいる。
それだけで俺の心は随分楽になる。

山田は以前とは違い、黒一色で絵を描いていた。

何の絵だろう?

山田が描くのは抽象画ばかりだったから、俺には見当もつかない。
だけど山田の人柄の出る、暖かい絵だった。

そのとき非常扉が開き、俺は驚く。

こんな場所に出入りするのは俺くらいのはずだから。

「ここにいたんだ」

非常階段に現れたのは中村だった。