「あ、俺も知りたい。
高校生は恋愛対象外ですか」

それをきっかけに、男子生徒たちがこぞって質問を始めたため、収拾がつかなくなる。

「いい加減にしろ。
実習初日から困らせるなよ」

俺が我慢できなくなったところで、中村が口を開いた。

「彼氏はいません」

男子生徒が口笛を鳴らし、さらに教室がざわつく。

「恋愛対象に年齢は問いません。
―――ただ、授業中にそんな質問をするような男性は対象外ですけど」

中村の答えに男子が黙り、反対に女子生徒から歓声が上がる。

俺は思わず笑ってしまう。

中村はこんな性格だから、女子からも人気があったっけ。

「他に質問がないようなら、佐々本先生、授業を進めて下さい」

「ああ…」

情けないが、俺は中村に助けられ、授業を再開することができた。