中村を連れて教室に入ると、途端にざわめく。

実習生というだけで物珍しいのに、中村は確か学園祭のミスコンで優勝しただけあってかなり目立つ。

こうなることは容易く予想できたので、俺は気にすることなく簡単に中村の紹介をして授業にうつる。

授業風景を見せるため、まず中村を教室の後ろに立たせたが、よそ見をする学生が多くなり授業が進まない。

「ちゃんと前を見ろ。
小学生じゃないんだから、こんなこと言わせるなよ」

俺の言葉に、中村はくすくす笑っていた。

「佐々ちゃん、質問」

授業中珍しく手を挙げる者がいた。

「何だ?」

「中村先生って彼氏いるの」

「―――却下」

俺はため息をつく。
そもそも、それは俺への質問じゃないだろう。