「担当教科、数学だとよ」

嫌な予感がした。

主任の先生が次々と教育指導の担当を振り分けていく。

「数学の実習生は佐々本先生、お願いします」

嫌な予感は的中するものだ。

「分かりました」

苦笑する林原の横で、俺は返事をした。

教育実習の初日、職員室には学生たちが普段着慣れないスーツを身にまとって集まっていた。

今年は全部で七人か。
就職して初めての卒業生だからか、みんな見覚えがある。

俺に気付き、実習生たちは手を振る。
生徒の俺に対する扱いが、四年前から変わっていない事実に苦笑する。