「何で?
連絡なんていいよ、別に」

「そういう訳にはいかない。
お前は生徒で、俺は教師なんだから。
もしこの家から俺が出て行くところを誰かに見られて誤解されてみろ、傷付くのはお前なんだぞ」

「誤解って?」

だから、そんな無邪気な顔して聞くなって。
本当に手を出しかけた自分が情けなくなるだろう。

「噂になったりしたら困るだろ。
山田は女の子なんだし」

俺ができる限りのことはして、彼女を守ってやらなければいけない。

「別に先生となら、噂になっても嫌じゃないけど」

山田は笑って言った。
どういう意味だ?

「先生ってやっぱり先生なんだ。
ちゃんとしてる」

「…バカにしてるのか?」

ムッとして言うと、山田は再び笑って首を振った。

「ううん、褒めたの」