「いいから早く。
帰れなくなるぞ」

俺は3-Bの確認を済ませると、そう言い残して他の教室の点検に向かった。

もう、山田のことは考えないようにしていた。

これ以上深入りする前に、彼女に惹かれる気持ちを心の奥に押し込め、出てこないようにしていた。

できる限り、もう山田と関わり合いたくなかった。

******

俺が学校を出る頃には、さらに雨が強まっていた。

傘をさす意味がない程の豪雨で、数分歩いた時点で全身はびしょ濡れになった。

吹き付ける雨に嫌気がさし、一旦近所のコンビニに避難する。

そして驚いた。
こんなときに山田は雑誌を立ち読みしていたから。

「先生…」

山田は俺を見て、罰の悪そうな顔をすると、手にしていた雑誌を棚に戻した。