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翌朝ホームルームを終えて職員室に行くと、隣の席の林原が電話の前で首を傾げ、受話器を置いた。

「どうかしたのか?」

「あぁ、山田雛が休みなんだけど、連絡がなくて」

無断欠席するようなやつじゃないんだけどなぁ、と林原はつぶやく。

俺は昨日の山田の高熱を思い出して不安になる。
あのあと悪化したんじゃないだろうか。

「こっちから連絡したのか?」

「してみたけどダメだった。
そもそもあいつ、一人暮らしみたいなもんだし」

「え?」

「あいつの家、両親が離婚して父子家庭なんだけど、その父親が、ほとんど家に帰らないから」