俺は横目で彼女を見ると大きく溜め息をつく。

いい加減、俺の心の中から出て行ってくれないだろうか。

時計を見るともうすぐ部活の始まる時間だったので、俺は慌てて体育館へ向かった。

「疲れたー。
佐々ちゃんラーメンおごって」

部活が終わり、後片付けをしていると生徒が周りに寄って来る。

「地方公務員にそんな余裕あるか。
気をつけて帰れよ」

「佐々ちゃんのケチー」

頬を膨らませる生徒に手を振って体育館を出たところで、校舎との渡り廊下に山田が立っているのに気付く。

「どうした」

「これ、先生のでしょ」

そう言った山田の手には俺のジャージが握られていた。