彼女の側まで来て、周りに人がいないのを確かめて一息つく。

俺はジャージの上着を脱ぐと、山田のスカートの上に掛けてやった。

時計をみると、部活まではもう少し余裕があったため、俺は彼女の側に腰を下ろす。

彼女の寝顔を見るのは二度目だった。

長いまつげ、小さな鼻。
唇を少し開いて寝息を立てている。

ふと、山田の頬に手を伸ばそうとしたところで我に返る。

「何だ、この手」

俺は慌てて伸ばした手を引っ込めた。