卒業証書の授与は時間の関係で割愛し、担任が卒業生の名前を呼ぶ。

俺の前にB組の林原が名簿を読み上げたが、俺が気付いただけで彼は二人も名前をつっかえた。

それを見ていると何となく俺も緊張してしまう。

出席番号が一番後ろの山田は最後に林原に名前を呼ばれた。

名前を呼ばれた者は返事をして立ち上がるのだが、彼女は小さくて、俺の場所からは見えない。
だけど、きっとあのふわっとした笑顔で立っているのだろうと想像がついた。

B組が着席し、俺のC組の番になる。

山田の声を聞いただけですうっと緊張が取れていくのを感じた。

俺はマイクに近寄り、名簿を開くと、大きく息を吸った。