手嶋先生は手にしていたバッグで俺と山田の頭を続けて小突くと、

「全くお前らは…。
そんなことしてるのを誰かに見られたら、さすがにフォローしきれないよ」

ため息混じりにつぶやく。

「すみません…」

手嶋先生は何もなかったかのように自分の靴箱から靴を取り出す。

意外とチョコレートが少ないことに俺が驚いていると、彼は言いたいことが分かったのか苦笑する。

「佐々本先生とは違って、俺は万人受けするタイプじゃないからね」

そして手嶋先生は山田に向き直る。

「さっきの様子だと、二人きりにしておくのは危険だな…。
今日は俺が送って行くから、雛は支度しておいで」

山田はうん、とつぶやくと、生徒の下駄箱に向かった。

我ながらヤバいな、と取り残された俺は頭を掻く。

そんな俺を見て、手嶋先生はもう一度頭を小突いた。

「あいつは歳に比べて無防備すぎる。
気持ちは分からなくもないよ」

やっぱり手嶋先生には何でもお見通しだ。
俺はため息をついた。