「先生のバカ…」

思わずそんな言葉が出た。
その不器用さが、私の大好きな先生らしくて、嬉しくてたまらなかった。

そのとき、バッグの中の携帯電話が震えた。

―――着信は、先生だ…。

「もしもし山田?
悪いな、さっきまで地下にいたんだ。
何か急用だった?」

涙が止まらなかった。

なんて単純なんだろう。

一瞬で先生の声を、笑顔を思い出したよ。

私は、気付けば声を出して泣いていた。