「私の気持ちが変わるわけない」

「うん、期待せずに待ってるよ」

俺は山田の頭を軽く叩いた。

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「家に入れ」

手嶋先生の実家の前で立ち止まり、入ろうとしない山田を促して言った。

もうすぐ22時を回るところだ。

山田がどう言って家を抜け出したか分からないが、今頃母親が心配しているかもしれない。

「ほら、早く」

恨めしそうに俺を見る山田の頭を軽く小突く。

「―――私、ちゃんと先生の彼女だった?」

ふと、山田がぽつりとつぶやいた。

そんなことが気になってたのか。

「当たり前だろ」

俺はつい笑ってしまう。