僕は生徒に恋をした

「まさか」

俺は嘘をつくのが下手だ。

目が泳いでいるのが自分でも分かる。

「目ぇ見て言えよ」

林原はため息をつく。

「お前には本当に呆れるよ。
わざわざそんな危ないとこに手を出さなくても、他にいくらでもいるだろ」

周りを気にしてか、音量はそのままで語調だけが強まる。

「謹慎がいい機会だよ。
いい加減目を覚ませ」

山田への思いは夢なんかじゃない。

目を覚ますなんて無理だ。

それは確かなのに、心のどこかでもう一人の自分が警告している。

このまま山田と恋愛を続けていれば、またいつ今回のようなことがあるか分からない。

もしまた誰かに見られたら、その次はない。

そうなれば、俺と山田は今までのように付き合っていくのは無理なのだ、と。