僕は生徒に恋をした

「彼女の家庭環境は特殊で、ほぼ毎日一人暮らしのようなものです。
軽率な行為だったと反省しています。
だけど、被害のあったその日に、一人にさせるのは心配でした」

では、と教頭が咳ばらいする。

「―――なぜ佐々本先生なんですか。
担任は林原先生です。
部活の顧問というわけでもない。
あなたより親しい教師もいるでしょう」

ギクッとする。

「女子生徒ですよ。
女性の先生に相談するとか考えなかったんですか?」

確かに、もし山田でなければ、俺は迷わず担任の林原や佐藤先生に連絡を取っただろう。

山田にしても、今なら、手嶋先生を呼ぶとか、それなりの対処法は浮かぶのに。

昨日の俺は冷静じゃなかった。

俺の隙がこんな結果を招いた。

「俺も動転していて、冷静な判断ができませんでした。
反省しています」