僕は生徒に恋をした

「もしもし」

「…」

電話の向こうの山田は無言だった。

「山田?」

耳をすますと、かすかに嗚咽が聞こえ、俺は慌てる。

「どうした?」

「家…」

山田の声がかすれていて、うまく聞き取れない。

「落ち着け」

俺の言葉に、電話の向こうで山田は小さい深呼吸をする。

「どうした?」

「家帰ったら、ドアが開いてて…」

山田の声が震える。

「部屋の中がぐちゃぐちゃで…」

空き巣、いやストーカーだろうか。

「今、一人か?
周りに変なやついないか」

俺は通話をしたまま家を飛び出した。

「待ってて、今行くから」