「あ、でも変に思われたりしないかな」

表情がくるくる変わって忙しい彼女は、見てて飽きない。

「大丈夫だろ。
他にも誰か後で呼び出しておくよ」

「そっか。
じゃあ、また今度呼んで欲しい」

「そんなに呼んだら怪しまれるよ」

俺は苦笑する。

「そっか。
私の成績が落ちたりすれば怪しまれないかな…」

山田が真剣な面持ちでそうつぶやいたから、俺は彼女の頭を小突く。

「俺はこれでも数学教師なんだからな。
付き合ってから彼女が成績落としたらかなりショックだよ」

山田ははーい、と返事したけど反省の色はあまり見られない。

そのとき、山田の携帯電話が鳴った。