僕は生徒に恋をした

「俺が見てあげようか」

洋平はなぜか俺を見て言った。
俺に嫉妬させようという魂胆なのが分かる。
洋平はそういうやつだ。

「本当?いいの?」

山田は余程嬉しかったのか、手を叩いて喜ぶ。

当分の間は受験に集中して欲しい、と言ったのは俺だ。

その手前、絵のことが全く分からない俺が口を出すわけにはいかないし、何より洋平の挑発に乗るのは癪に障る。

だから俺は何も言わない。

「あのグラデーションできるようになるかな」

山田がぽつりとつぶやくと、洋平は、そんな簡単にできてたまるか、と苦笑する。