「俺は教師だし、お前が卒業するまでの半年近く、満足に付き合えないと思う」

「うん」

「ましてやお前、受験生だしな。
少なくとも受験が終わるまでは、そっちに集中して欲しい」

告白しておいて言うセリフじゃないけど、と言うと山田は笑った。

「うん、それでもいい」

俺はこの笑顔が好きなんだ。

山田の家の前に着いたとき、彼女は黙って俺の顔を見上げる。

キスしたい衝動に駆られて手を伸ばそうとしたとき、彼女が口を開いた。

「私、武内くんと別れたからね」

彼女の言いたいことが分かり、俺は苦笑する。

「俺も佐藤先生とは別れたよ」

そう答えた瞬間、目に見えて安堵した山田にまた笑ってしまう。