だけど先生は嵐の中、戻って来てくれた。

まるで私が先生に側にいて欲しかったのが分かっていたかのように。

私は思わず先生に抱き着いてしまった。

先生を困らせてしまうのは分かったけど、怖かったのと嬉しかった気持ちが入り混じって、私は何も考えられなかった。

先生が私を気にかけて戻って来てくれた、ただそれだけで私は幸せだった。

先生はずっと私から離れないでいてくれた。

雷も収まらず、停電で真っ暗になった部屋だったけど、先生と一緒なら怖くなかった。

暗闇の中で一瞬、先生は私を見つめた気がした。

私の頬に伝う涙を指で拭いながら、先生は何かを言いかけた。

この日からだ。
先生が私を見る目が、他の子と違うように思い始めたのは。