もう限界だった。
これ以上、山田といるのが辛い。

無理矢理にでもこの話を終わらせなきゃ。
そう思ったとき、山田が急に俺の手を掴んだ。

「―――だって私…」

俺よりもずっと小さい手は、わずかに震えているようだった。

山田の目が俺を見つめる。

少し焦げ茶がかった、透き通るような目。

俺はその目を逸らせない。

「―――だって私、先生が好きなんだもん」

山田はそう言って、俺の手を強く握り締めた。