俺がコンビニに着いたとき、丁度同じタイミングで中から山田が出てきた。

「先生だ!」

山田がそう言って俺の側に寄る。

俺は相当重症らしい。
たったそれだけのことで、必要以上に緊張してしまう。

「―――醤油が切れちゃってな」

「嘘!私もだよ」

山田は大きな目をさらに見開いて言う。

彼女の手に握られたレジ袋を見ると、偶然にも醤油が入っていた。

「すごい偶然」

山田は屈託なく笑う。

「―――ついでだし、送って行くよ。
少し待ってて」

最近は日が暮れるのも早くなり、外は真っ暗だ。

山田は近所だし、送って行くくらいなら許されるよな、と自分に言い聞かせた。