僕は生徒に恋をした

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「また増えてない?」

佐藤先生が俺の上着のポケットからチケットを取り出し、笑いながらハンガーにかけた。

「文化祭期間は食費が浮きそうだよ」

俺はそう言いながら、冷蔵庫を覗く。

数種類の野菜がある。肉も冷凍させてたのがあったはずだ。

「夕飯、有り合わせでいいかな」

彼女の頷いた声を聞いて、俺は支度に取り掛かる。

料理はもともと嫌いじゃなかった。
ただ、佐藤先生が料理上手で作ってもらうことが多かったから、自宅で作るときくらいは自分でやることにしていた。

「ごめんね、急に来たいって言って。
予定とかなかった?」

俺はないよ、と言った。

平日の夜に会うような友達はそう多くない。

交流関係が狭いのも自覚していた。