だけどここで全てを出して、中から山田のチケットを探すのは無神経すぎる。

「どしたの?」

どうしようと迷っていると、山田が俺のポケットに手を入れようとした。

俺が慌ててポケットから手を抜いたため、中のチケットが全て落ちた。

―――しかも裏には女子生徒の名前ばかり。

何てツイていないのだろう。

山田のチケット以外は、本当はいらなかった。
こんなことになるなら、全て断っていれば良かったとさえ思う。

さっきとは逆で、今度は山田がチケットを拾いながら言った。

「こんなにあるなら、私のなんていらないね」

山田は中から自分のチケットを探し、それを抜いてから俺に渡した。

「無理しなくていいのに」

山田が自分のチケットをしまおうとしたとき、俺は無意識に彼女の手を掴んでいた。