「今夜、家に行っていいかな？」

明日は休みだし、断る理由はない。

彼女の言葉に頷いた後、俺は会話に詰まる。

手持ち無沙汰になって、手にしていた資料を確認したとき、一つ足りないことに気付いた。

「悪い、資料が抜けてた。
一旦戻るから、先に行ってて」

俺は佐藤先生を先に促し、一人で職員室に引き返す。

その途中で上の階から叫び声が聞こえた。

ふと窓を見ると、ヒラヒラと花びらのようなものが落ちて来る。

俺は窓から首を出し、上を見上げる。

「ごめんなさーい！
今拾いに行きます」

三階の窓から俺を覗いたのは山田だった。

俺は中履きのままで窓から外に出ると、その落下物を拾う。

ピンク色の小さな紙には、焼きそば無料券と書いてあった。