昨日の今日で、アルコールには手を出したくなかったから、カフェに移動することにした。

「昨日はすみません…」

俺は席に着いて、まずそう言った。

「それは何に対する謝罪なんでしょうか」

佐藤先生が不安気に俺の目を見る。

彼女は鋭い。
確かに今のは罪の意識から逃れたくて、口先で謝っただけだ。
それは彼女への謝罪にはならない。

俺はもう一度頭を下げた。

「正直に言うと、昨日のことを覚えていないんです。
俺はあなたに―――」

何か失礼なことをしたか、そう聞こうとして俺は思い止まる。

何もしていないのを確認したところで、自己満足に過ぎない。

俺は昨夜、酔って彼女を家に連れ込んだ。
それが事実だ。