「違う、佐藤先生のことだよ」

俺は林原の言葉に眉をひそめた。

「俺と別れた後、彼女がお前の家を訪ねなかったか?」

何で林原が知っているんだ?
俺の顔にそう書いてあったのか、彼は俺を見て笑った。

「どうだった?
やっぱり彼女、いい女だったか?」

林原の言う意図が掴めない。
しかし彼は、昨夜のことを知っているようだった。

「何で…」

俺が言葉を失うと、林原は苦笑した。

「知ってるさ。
俺が彼女を行かせたんだから」

それに、と彼は続ける。

「お前をわざと酔わせたんだからな」

林原はそう言って手にしていたボールを俺に投げて寄越した。