明日はまた部活があるというのに、それを心配する気も起きないくらいに酔っていた。
こんなに飲んだのはいつ以来だろうか。

ふと、自宅の前に人影があるのに気付く。

覚束ない足で近付くと、想像もしない人が立っていた。

「佐藤先生…?」

まるで俺の声に答えるように、彼女は小さなくしゃみをした。

夏とはいえ、日が落ちた夜は少し冷える。
佐藤先生はいつから俺を待っていたのだろう。

「そんな薄着じゃ風邪引きますよ」

俺は普段は滅多に人を家に上げない。
異性ならなおさらだ。

だけど今夜はすごく酔っていて、俺の頭は冷静じゃなかった。

酔いが回って、玄関で靴を脱ぐのもままならない。

「だいぶ飲んでるんですね」

佐藤先生に言われて俺は苦笑してしまう。

飲まなきゃやってられない。
だって、山田は武内のものになってしまったのだから。