一度おかした過ちは、ことが終わってから悔いても取り返しがつかない。

好きな子に、他の男からされた告白に応じるように促すなんて、きっとマゾでもできない。

まるで、自分に引導を渡したようなものだ。

俺はバカだ。

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その日の夕方、バスケ部の練習が終わる頃、体育館の入口に山田の顔が見えた。

武内が山田に気付き、駆け寄るのを見て、俺はこの後の展開を確信した。

いや、今さら確信することでもないか。
俺は山田の口から直接、彼と付き合うと聞かされているのだから。

「やったー」

体育館の隅から武内の嬉しそうな声が聞こえる。
俺が聞こえない振りをしていると、武内は俺の名前を呼んだ。