ちょっと待て。
何でここに山田がいるんだよ…。

俺はとっさに扉から離れ、息を落ち着ける。

昨日、次に会うのは当分先になると自分に言い聞かせたばかりなのに。

花火を一緒に見たいと言ったり、構わせるためにわざと転んだようなことを言ったり。
昨日の山田の言動は疑問だらけで、俺はまだ彼女に会う心の準備ができていなかった。

何で俺はこんな所で聞き耳を立てているんだろう…。

缶ジュースを握り締め、我ながら情けなくなる。

「だいぶ片付いたし、そろそろ終わりにしようか」

武内の提案に山田が頷く。

「武内君、部活あるもんね」

「山田もだろ。
…そういや山田ってさ、手嶋先生が好きって本当?」