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翌日。

夏休みに入ったとはいえ、バスケ部の練習はいつも通りなのであまり代わり映えがしないのが実際だ。

「佐々ちゃん、武内が遅刻するって」

体育館に顔を出すと3-Bの宮下に声を掛けられた。

キャプテンだけあって練習好きの武内が遅れて来るのは珍しい。
俺の顔が不思議そうだったのか、宮下が答えた。

「あいつ、このあいだ日直サボったから、今朝から担任に資料整理させられてんだって」

古典の資料室は林原が責任者だけあっていつも雑然としている。
夏休みに入って時間もできるくせに、わざわざ生徒に片付けさせるのが林原らしい。