「林原、起こしましょうか？」

俺は酔い潰れて爆睡している林原を指差す。

佐藤先生が話したいなんて言ったら、彼は小躍りして喜ぶんじゃないだろうか。

「違うんです。
実は最近、林原先生に言い寄られて困ってて」

佐藤先生はまた俺の耳元で囁く。

こんなに近付く必要があるだろうか。
俺が意識しすぎなのか、どうも一つ一つの動作が気にかかる。

「今夜の見回りの組み合わせも、気付いたら林原先生に代わってたし…」

俺の元々のペアは彼女だったのか。
もしかして手嶋先生が苦手というのは口実で、本当の目的は佐藤先生だったのかもしれない。
林原ならやりかねない、そう思って俺はため息をつく。

「すみません、急に代わってしまって」

俺は林原のために何回謝るのだろうか。